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レトロ漫画レビュー「伊賀の影丸」

伊賀の影丸 (1) (秋田文庫)伊賀の影丸 (1) (秋田文庫)
(1995/01)
横山 光輝

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横山光輝先生の名作忍者漫画。
忍者同士が忍術合戦で勝負するというこの手のジャンルの先駆者としては、
「カムイ」「サスケ」等の白土三平先生と並んで有名かと思います。
歴史的作品なので今更レビューというのもどうかという感じですが、
逆に今のご時世知らないという人も多いかと思い、改めて紹介します。


特徴としては、
白土先生が術の原理や方法を細かく説明し、
また忍の葛藤や哀しさも物語に盛り込んだ「リアル系忍者」を多く描いているのに対し、
横山先生の「伊賀の影丸」はあくまで活劇調
個々の忍者のエピソードなどはほとんど紹介せず、
術の説明などもザックリとしたもの。
ほとんど術は超常的なものとして描かれています。

しかし、そこはやはり忍者漫画。
他の能力系バトル漫画には無い特色もいくつかあります。


まず、基本的に命がけで正々堂々などという言葉が存在しない点。
武器は何でもアリ、飛び道具に毒を塗っているのも当たり前で、一対多数も日常茶飯事。
また、死にかたも非常に呆気ない事が多く、読んでいてとてもスリリングです。
術を出す事無く、ロクに見せ場も無いまま死んでいくキャラもいますし、
この辺はやはり忍者ならではの非情さと言った所でしょうか。
バイオレンス的表現は、少年漫画だけあって控えめなのですが、
友情・勝利はともかく、努力の入る余地の無いハードな展開が多く見られます。

あとは、敵味方の忍者が使う術もなかなか変わった者が多いのも特徴でしょうか。
直接的に攻撃する、威力を誇るようなものはそれほど多くなく、
催眠術であったり、身を隠す術、身代わりの術のようなものが多く見られます。
これらの術で敵が惑わし、手裏剣や刀で倒す…という展開も多いですね。
一見、セコい・地味と言った印象を受けますが、
刃物を持っての殺し合いの場では、一瞬の隙はそのまま致命傷となります。
相手の隙を一瞬作れる手段があり、その隙を突いて攻撃できれば、それはもう必殺の攻撃パターンです。
何しろ主人公の影丸の術からして、「木の葉隠れの術」
風に舞う木の葉に紛れて消えるという、見た目非常にスマートな技ですが、
冷静に考えると、これも逃げの技。主人公の術としては非常に地味です。
(※一応、作中でどんどん派手になってはいきます。詳しくは後述。)
FFでいう所の「とんずら」、メガテンでの「トラフーリ」です。地味すぎます。

しかし、忍の技としてはこれほど優秀な技はなかなかありません。
なにせ、敵からほぼ確実に逃げられるのですから。
作中で披露される多くの忍術は、初見で見切る事は困難を極めますが、
逆にどうにかして術を知ってしまえば、対策を立てて破ることが可能です。
作中で、『敵忍者の奥の手を見るため、敢えて加勢せず味方が敵に倒される所を観察する』
という行動をとる忍者がいるほどです。
忍にとって、敵に術を見られるというのはそれだけ致命的なのです。

そこをゆくと、影丸は例え相手の術にかかっても、木の葉隠れで難を逃れる事ができます。
木の葉隠れで逃亡→対策を立てて再戦し倒すという展開は何度も出てきます。
この術一つとっても、影丸という忍者は敵にしたら本当に厄介ですね。
また、影丸と何度となく戦うライバルポジションの忍者、阿魔野邪鬼も、
「致命傷を受けても数時間で再生・復活する」という恐るべき能力を持っており、
これも、「敵の奥の手を喰らっても再戦できる」という意味では、影丸と似たメリットがありますね。
後に多くの歴史漫画を描いていく横山先生だけにというべきか、
「情報」が勝ち負けを左右する展開が多く見られます。
単純な力比べでの決着とならない所は大きな魅力かと思います。


ちなみに余談ですが、この影丸の「木の葉隠れ」。
横山先生も流石に地味だと思ったのか、徐々に作中で性質が変わっていき、
しびれ薬を塗った木の葉を相手に敵に纏わせて行動不能にしたり、
木の葉に火を付け攻撃したり(「木の葉火輪」)といった技になっていきます。
この辺になるともう木の葉隠れは凶悪な範囲攻撃という扱いで、
初見の相手は痺れ薬で昏倒するか、炎に包まれて焼け死ぬかという感じです。
しかしそんな凶悪な「攻撃版・木の葉隠れ」も、
術を知られてしまえば「風上に移動する」というだけの単純な方法で破られます。

また、邪鬼の恐るべき「再生能力」も、
何度となく戦った影丸には「その身を焼かれ灰になれば再生は不可能だろう」と、
決して無敵ではない可能性を示唆されます。
(影丸が行動に及ぶ事は無かったので、実際焼かれて灰になれば再生できないかは不明ですが)
術を知られるというのはまさに生死に直結する事なのです。


古い漫画ではありますが、
少年向け故の読みやすさと、今の少年漫画ではなかなか無いシビアさがあり、
今になって読んでみても中々楽しめる作品だと思います。
文庫も出ていますので、オススメです。

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2010-09-16 16:05 : レトロ漫画 : コメント : 2 : トラックバック : 0 :
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伊賀の影丸といえば
使用されている忍法(+忍び文字)がけっこう、山田風太郎忍法帖の
諸作品からのそのものパクリすれすれな借用振りだったりするのが
チョット複雑なところですね……いや、だからって別に伊賀の影丸を
悪く言うワケでも無いですし全部が全部剽窃だなどとまでは言わないんですが
(それでも夢に現れる忍法の借用の様については少し言いたい事が有りますけどね。
あっちは忍法の使い手が性別を超えた美形なんで――という最低限度の説得力が
あったからイイんですが、影丸だとその辺が省かれてるんで何だかな……と)。
2013-07-19 07:43 : 流浪牙 URL : 編集
Re: 伊賀の影丸といえば
>>流浪牙さん
まあおおらかな時代というか、
(小説でも映画でも)他媒体の展開を、「漫画でやる」事に価値がある時代でしたから、
露骨に影響受けてるのが丸わかりでも問題無かったのかもしれませんね。

あんまり山田風太郎作品読んでないんですが、
影丸でも、「一体これは(超常的な力でないなら)どんな技で起こしている術なんだろう?」と首を傾げるような術がたまーに出てきますが、
それはやっぱり山風作品から借用している術だったりするんですかね。
『土蜘蛛五人衆』に出てきた竜三郎の術なんかは、
「意識の無い相手に憑依する」としか思えない(詳しい説明はされない)もので、
お前それ忍者の術って領域を超えてるだろとツッコまざるを得なかったのですが。
2013-07-20 00:11 : ノノック URL : 編集
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文章の苦手な文系。
ゆとり直前世代のゆるゲーマー。
ほのぼの漫画が好き。
2016年2月ブログ名変更。

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