伊賀の影丸「七つの影法師の巻」レビュー。

伊賀の影丸 (7) (秋田文庫)伊賀の影丸 (7) (秋田文庫)
(1995/11)
横山 光輝

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・あらすじ
『七つの影法師』と呼ばれる謎の忍者集団が、幕府隠密に挑戦状を叩きつけてきた。
服部半蔵はこれを受け、影丸ら7人の凄腕忍者たちを選び、相手を任せる。
ここに血で血を洗う忍の戦いが始まった。


『「伊賀の影丸」で一番の傑作』との呼び声の高いシリーズです。
実際読んでみるとすごい面白いんですよ。この話。


やはり最大の魅力は、
バトル展開に特化した故の展開の早さでしょうか。
他シリーズ同様、敵の正体や目的など、暴かれるべき謎はありますが、
このシリーズでは、影丸たちは敵忍者の殲滅に専心し、敵組織の調査などは行いません。
また、『戦うのはお互い選ばれた7人の忍者のみ』というルールがありますので、
お互いに増援や名無しのザコ忍者の投入はありません。
そのため物語は非常にスピーディーに進んで行きます。

そしてまた、
主要の忍者たちの死にざまも非常にあっさりしていて、
敵味方ともども、バタバタと死んでいきます。
こういったシビアさもあって、物語は非常にスリリングです。
最初に死ぬ夜霧丸なんで、
「果たし合い参加者名簿の巻物を受け取ったら、それに毒針仕込まれてて死亡」ですからね。
というか、そういう手段を主人公側のメンバー・幻夜斉がやっちゃうというのが凄い。
しかしその幻夜斉も野火の計略に掛かり、不意打ち&二人がかりで呆気なく死亡。
野火は幻夜斉に変装し、天鬼の不意を突こうとしますが、
幻夜斉最期の秘術『血染蜘蛛』の効果で偽物とバレ、逆に天鬼に不意を討たれ死亡。
そんな天鬼も魔風との戦いで炎の中に消え…
と、ほんとにハイスピードで退場していくため、
読んでる側としては飽きる暇がありません。
特に幻夜斉は、見た目なかなかキャラが立ってて実力者っぽかったので、
あっさり不意打ちで死んだときには驚きました。
活劇調ではありませんが、こういったバトルロイヤル的な容赦のない展開も非常に魅力的です。


ラストの展開もお気に入りで、
影法師で最後に生き残ったのが、中盤で一度影丸に敗れ捕えられた魔風
対するは、中盤でやられた傷がまだ癒えていない影丸。
最後に立ちはだかるのが一度倒した敵というのも珍しいですし、
主人公が決して軽くない傷を負っている=全力を尽くせない状態、での最終決戦というのもレアケースです。
だからといって、決して敗者VS重症者のしょっぱい戦いとはなりません。
影丸の受けた痛手は重く、戦場へ出向くのにも杖をついて歩くような状態で、
流石の半蔵も「まずおまえのからだではむりじゃ」と止めようとします。
読んでて「ひょっとして影丸が死ぬんじゃないか」と思わせてしまうほどの悪条件で、いきなり油断ができません。

そしていざ戦いが始まれば、影丸は魔風の火術を逆手にとって、
戦場一面に火薬を撒いていたため、戦場は一瞬で火の海に

お互い一歩も動けぬほどの勢いの火の中という極限状態は、
絵の派手さもあって、最終決戦と呼ぶにふさわしいインパクトです。
戦いは、影丸が辛くも「木の葉隠れ」で魔風を討ち破りますが、
最後に流れるモノローグは「めでたしめでたし」で終わるものではありません。

七つの影法師は、実は薩摩藩が召し抱える忍者集団の一員で、
自分たちの実力が幕府隠密に匹敵する事を証明するために戦いを挑んできたのですが、
この結果で薩摩藩は、「伊賀忍者と互角の戦いをした」と彼らの実力を認め、独自の隠密組織を作ってしまいます。
この組織は幕府忍者の強大な敵となり、将来に薩摩に徳川幕府が倒される遠因となります


「影丸たちがこれだけ死力を尽くしてこれかよ!」と思えるものですが、
この締めも忍の生き様の無情さを感じさせる見事なものです。
全てが燃え尽きた焼け野原で、魔風の死体を背に去っていく影丸たちの絵と相まって、
非常に物悲しい気分にさせてくれます。

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2010-09-24 00:20 : レトロ漫画 : コメント : 2 : トラックバック : 0 :
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No title
 「魔風の死体」って魔風は生きているかもしれませんよ。
 だって影丸が明確に止めを刺したシーンがありませんもん。
2012-10-27 11:35 : ビーチ URL : 編集
Re: No title
>>ビーチさん
確かに影丸は忍者として非情になりきれない所がありますし、
『由比正雪の乱』ではそれで一度撃退した敵忍者がリベンジしに来た事もありましたけど、
半蔵が「全員生かしては返すな」と命令された以上、やっぱり殺してるんじゃないかと思いました。
あれで生かして薩摩に帰したら、影の一族全員に影丸の得意な術が知られる事になっちゃいますし…。
2012-10-27 22:26 : ノノック URL : 編集
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ゆとり直前世代のゆるゲーマー。
ほのぼの漫画が好き。
2016年2月ブログ名変更。

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