「良い上司」なのはヨミさまに限った話でも無いんだよ!という話。


本日見かけた短レスまとめ記事の、
我等のビッグファイアのために!!アルファルファモザイク様)
を見て思うところがありました。

バビル2世 (1) (秋田文庫)バビル2世 (1) (秋田文庫)
(1994/10)
横山 光輝

商品詳細を見る


漫画『バビル2世』において、
ヨミ様が「良い上司」であるというのは確かですし、
バビル2世がすっごい容赦ないというのも確かです。

画像にもありますが、
ロプロスがヨミの部下の乗った戦闘機を人質にしたときも、
ヨミ様は「部下など構うな!撃ち落とせ!」とすぐには言いませんでしたし、
(ちょっと考えて、
「やむをえん!バビル2世が侵入してきたらもっと大きな被害が出るんだ!撃て!」という流れになりましたが。)

文庫版7巻の最終決戦では、
罠と分かっていて、部下を救うために自身の超能力を酷使してしまいました。
「くそっお前が勝負をひきのばしたのはこのためか
 しかたないこのまま部下を見殺しにするわけにもいかぬ

↑この台詞、涙モノですよ
何で悪の組織の親玉が、
それが相手の策だと分かっていて、部下を切り捨てる決断ができないんだよ…。
ホントに、こんな上司についていきたいと思わせるお方です。

しかし、「敵のボスが部下には優しい」というのは横山光輝作品の特徴である気がします。


古い漫画の悪役というと、
部下の命などまるで気にしない、
酷いのになると、生きて帰って来た部下に対して、
「それで貴様はおめおめと帰ってきたのか!死ね!!」「お、お助け…ギャー!!!」
みたいな感じで、むしろ部下を積極的に殺しちゃうイメージがありますが、
横光漫画では、そこまで非道な、「純粋悪」というようなのはあまり居ません。
せいぜいが、「口封じのため、敵に捕まった部下を殺す」「敵もろとも部下を殺す」と戦略的に殺すくらいで、
意外と人間味の感じられる良いキャラクターだったりします。


例えば、『伊賀の影丸』の場合、

伊賀の影丸 (10) (秋田文庫)伊賀の影丸 (10) (秋田文庫)
(1999/07)
横山 光輝

商品詳細を見る

「若葉城の巻」での敵役の筆頭である阿魔野邪鬼は、
部下には「相討ちででも影丸を倒せ!」とまで言いますが、
それでも影丸によって部下が倒されると怒りを露わにしますし、
後の話である「邪鬼秘帳の巻」では、
幼い若君までを権力のために殺そうとする弾正の企みに、
「いくら野望のためとはいえ、あんなちいさな子供まで…」と憤る場面もあります。

また「闇一族の巻」の首領、蓮台寺も、
「部下もろとも敵を突き殺す」という、非道とも言える行動をとりましたが、
激闘の末に倒れた際に良くしてくれた庄屋を「恩人」とし、
影丸との戦いで迷惑をかけぬようにと配慮をします。

首領だけではなく、その部下の忍者にも仲間意識はちゃんとあります。
個人的に印象に残っているのが、
「七つの影法師の巻」で、
幽鬼が絶命した仲間の紫右近に、
「右近、よく戦ってくれた 敵が一人でも減れば それだけわれわれは助かる
 おまえの死はむだにはせぬ 迷わず成仏しろ…」

と語りかけ、その死体を焼く場面で、
ここは敵方ながら、グッと来ます。

また、『バビル2世』の続編的存在である『その名は101』。
その名は101 (1) (秋田文庫)その名は101 (1) (秋田文庫)
(2002/11)
横山 光輝

商品詳細を見る

こちらで後半まで101ことバビル2世の敵となるのはCIAの超能力者メンバーなんですが、
彼らも冷徹な人間ではなく、ちゃんと仲間意識を持っている事が台詞の端々から見られます。
例えば、メンバーの一人がバビル2世にテレパシーで精神攻撃され、精神崩壊を起こし暴走し始め、
その処分に他メンバーが悩んだ際、CIA局長が、
「君たちなら(暴走したメンバーを殺す事も)できるだろうが、気は進まないだろう」という台詞を言ったり、
『メンバーの一人をおとりに戦いの様子を観察し、バビル2世の強さの秘密を探ろう』という作戦を発案した際に、
観察役に選ばれたメンバーが最初に言う台詞が、
「その任務、私がやらねばなりませんか?」だったりと、
味方を殺す、見殺しにする任務に事に対しての拒否感が見てとれます。

後は、『闇の土鬼』でしょうか。
闇の土鬼 柳生一門と血風党編 (プラチナコミックス)闇の土鬼 柳生一門と血風党編 (プラチナコミックス)
(2006/09/06)
横山 光輝

商品詳細を見る

この作品の、暗殺組織である血風党の長・無明斎は、
序盤~中盤にかけては完全な敵役で、
主人公の土鬼も育ての親を殺した血風党を滅ぼす気満々、
無明斎も部下を殺して回っている土鬼を殺す気満々なのですが、
終盤、血風党が幕府によって潰されそうになると、
天賦の才を持った土鬼に、血風党の武芸を伝え残そうと考え、
最終的には、敵であった土鬼と師弟のような関係となり、
最後に残った部下は全て逃がしてやり、一人自刃して最期を迎えます。

暗殺組織の長である無明斎ですが、
その最期は部下の命を考え、武芸を受け継いだ事に満足し、
一人で責任を取って死ぬという、あまりに立派なものです。


といった感じで、
別にヨミ様に限った話ではなく、
悪役でも、どこか情や仲間意識があるのは横光先生の特徴じゃないかなと思うのです。
別に「悪役にこそ正義が~」とか「主人公の行為は本当に正しかったのか~」とか、
そういう事まで深く考えさせるような展開は無いですし、
悪役は悪役なりにそれなりに悪い行為もしてますが、
悪役=血も涙も無い存在では無いのも、横光先生の持ち味と言えるのではないでしょうか。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

2010-11-18 01:49 : レトロ漫画 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

プロフィール

ノノック

Author:ノノック
文章の苦手な文系。
ゆとり直前世代のゆるゲーマー。
ほのぼの漫画が好き。
2016年2月ブログ名変更。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード