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「ゲーム脳」とは結局何だったのか?―「ゲーム脳」の恐怖その1

ゲーム脳の恐怖 (生活人新書)ゲーム脳の恐怖 (生活人新書)
(2002/07/10)
森 昭雄

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 一時期やたらと騒がれたゲーム脳とはいったい何だったのか?
 一番簡単に説明できるのが、「エセ科学」という表現だと思いますが、これではちょっと言葉足らずかなとも思います。
 私は、「ゲーム脳」とは、都市伝説ではなかったかと思うのです。

 今でこそ、「ゲーム脳?あったね、そんなの」という感じですが、当時の反応は凄いものがありました。
 日頃からゲームというものを好ましく思わない大人と、叩けるものは何でも叩きたいマスコミが飛びつき、一斉にゲームを叩き出しました。
 当時私が通っていた高校でも、わざわざHRにプリントを配り、「ゲームは有害な物だというデータが出たのだから、あんまりやるな」という趣旨の説明がされました。

 まー私はその当時から天邪鬼で、流行りものはとりあえず疑ってかかるクチだったので、
 「そんな良く分からん教授の言う事が信用できるかー!大人達は嘘ばっかりついているんだー!おーい磯野深夜校舎窓ガラス壊して回りにいこうぜー!」
 という感じで尾崎イズムを燃やし、学校側のそのお達しには無視を決め込むことにしましたが。


 まあそれは今となっては過去の思い出でしかないのですが、今にして思う事があります。
当時「ゲーム脳」を支持していた人たちの中で、ちゃんと「ゲーム脳の恐怖」を読んだ人がどれだけ居たのか?という事です。
 私がこの本を読んだのは、ゲーム脳が流行ってから数年後ですが、あまりのトンチキぶりに恐怖すら感じました。
いや本当に。当時これを読んで、その上で支持してた人っていうのは、どんな人たちなのか…。
 恐らく誰も本の詳細など知らず、だた聞きかじった知識だけが伝わっていったんじゃないでしょうか?


 まあデータ的な部分やその解釈については、私はこの教授以上に知らないので、その辺りのツッコみは山本弘先生にお願いします。
 (参考→ トンデモ『ゲーム脳の恐怖』

 そしてここでは著者の森教授の文章の面から、いかにこの本がおかしい事になっているか挙げていこうと思います。
はっきり言ってまるで理論的でない事を堂々と書いているので。
ちょっと読めば変だと思うはずなんだけどな…。

 全編通してよく見られるのが、

1.○○というデータがある。(単純な事実。)
2.このデータが正しいなら、××という事もありえる。(データを元にした推論。)
3.もしそうなら△△になってしまうのではないか。(2の推論を元にした妄想。)

 という三段論法の飛躍です。1のデータを元に2で推論を立てているのですが、その何のデータもない2を元に、更に変な推論を立て、勝手に「だとしたら深刻な問題である」みたいな雰囲気を出す手法が、この本では何度も出てきます。


 
 例として非常に分かりやすいのが、同教授の「ITに殺される子どもたち」での文章です。
別の本になってしまって申し訳ないのですが、非常に分かりやすく異常な文なので、ここで紹介します。

1.加害児童はチャットやインターネットへの書き込みをひんぱんにしていたそうです。
2.学校でも家庭でもコンピュータ操作をしていたのでしょう。
3.そのことから考えると、ITに長時間かかわることで、人間としてもっとも大切な脳の部分、
  前頭前野の働きが悪い状態になっていたものと推察されます。
               (「ITに殺される子どもたち」P3・L2~P4・L2原文そのままで引用)


  2004年に長崎で起きた、小学校6年生女子による、同級生への殺傷事件に対する教授の見解です。おそらく多くの人が違和感を覚える文章でしょう。
 まず1に関してはおそらく事実だと思える部分です。正確には新聞雑誌などを引用してないので、情報の信頼性が乏しいですが、いちいち突っ込むところではありません。

 しかし2で書かれている内容は、教授の勝手な想像です。
 1の文章からでは、学校でコンピュータ操作をしていると読み取れる部分はありません。
というか、小学校でチャットやカキコをするという状況が分かりません。
学級崩壊でも起きてなければ、普通授業中にパソコン操作する機会なんてありませんし、パソコン授業や、昼休みに使っていたとしても、この書き方は不自然でしょう。
また、仮にそういった事実があるとしても、1でそう分かるようには書かれていません。

 そのため3で書かれている「推察」も、納得の行くものではありません。
2で書かれているのが事実でない以上、そこから導きだされる結論に意味はないでしょう。


 こんな感じの文章が、この本には多く使われています。山本弘氏は、「データと主観がごっちゃになってしまっている」と表現していますが、本当にその通りだと思います。



 この「ゲーム脳の恐怖」では、P26~28の「睡眠不足の子供たち」では、こんな離れ業を使っています。

1.NHKでの調査結果によると、昔に比べ子供たちの睡眠時間が減っている。
  また、毎日テレビゲームを行う子供たちも4割以上いる。(共にデータ有り)
2.最近は塾に行っている子供も多いのに、何故毎日ゲームを出来るかといったら、
  それは睡眠時間を削り、ゲームをやっているためである。(データ無し)
3.もしもテレビゲーム中毒になってしまうと、朝の3時までしていることになりかねない。



 はい、脳みそとろけそうな論法ですよね。
 いやもう、一応説明させていただくと、まず1から2に発展するデータが無い事が問題です。
 「塾から帰ってきてからテレビゲームをするので、寝るのが遅くなるのも当然です」(P27・L4)等と、見たような事を書いていますが、データはありません。
 そもそも1では小学生の睡眠時間が減っているデータと、毎日ゲームをやっているというデータを出されただけで、その二つの因果関係すら説明しないで、それが結びついている事を前提に推論する事に無理があります。

 (せめて「毎日ゲームをやっている生徒」が「それぞれ毎日何時間ゲームをしているのか」というデータがあれば、この推論に説得力も生まれるのですが…。)

 そして3に至っては、妄想ですね。これは。
 事例も挙げずに「なりかねない」って言われても…。
そりゃどんな物でも時間を忘れて没頭してしまう可能性はあるますけどね。それこそ、「パンの食べ方によっては、喉に詰まらせる事になりかねない」というような話です。
 関係ある話をしているようで、全く関係ないという、森教授の真骨頂です。
 
 ちなみに離れ技というのはこの後にある文章です。
 ここまでの超理論と繋がってるのかどうなのか未だに分かりません。

4.これからの時代は、本人が目標をしっかり持たないといけない。
  テレビゲームばかりで育った子供は、10年後、20年後には、
  体も弱く、まわりの人に気配り出来ない大人になってしまうだろう。
5.テレビゲームは世界中にある。もし世界中で理性的にものを考える、
  冷静になるという能力が低下したら、どうなるだろうか。


 うーん本気で分かりません。
 4も5も、とにかく危機感を煽ろうとしているのは分かるのですが、ここで言うことではないですよね。

 もし先の文と繋がっているなら、3を受けて「朝の3時までゲームやってたらこんなにも駄目な大人になってしまう!世界中にそんな人が蔓延する事になってしまうのだ!」って事になるんですかね?
 まさかですけど。
 
 他にもツッコミどころはあるので、次回に続きます。

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2009-05-23 22:13 : : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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Author:ノノック
文章の苦手な文系。
ゆとり直前世代のゆるゲーマー。
ほのぼの漫画が好き。
2016年2月ブログ名変更。

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