連載終了!家族ゲームを今一度振り返ってみよう(その1)。

家族ゲーム (Dengeki Comics EX―電撃4コマコレクション)家族ゲーム (Dengeki Comics EX―電撃4コマコレクション)
(2006/10)
鈴城 芹

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電撃4コマで創刊号から足かけ10年やってきた、
ゲーム好き家族ほのぼの日常漫画『家族ゲーム』もついに完結!
一言で「10年」とは言っても、リアルタイム進行であるこの漫画の10年は、
中学一年生が大学を卒業するまでの長い長い青春と成長の物語でもありました。
そして、コラムの方で芹先生がたびたび書いていましたが、
電撃4コマ自体が雑誌の付録企画のため、いつ終わるか作者にも編集にも分からない代物だったので、
ここまで続き無事円満完結というのは、それ自体が本当に奇跡のようなものでもあったりします。
今までずっと楽しんできた漫画が終わってしまうというのは本当に寂しい限りではありますが、
ここまで見事な「完結」を目にする事が出来たのを、幸せに思うべきかもしれません。

どういう形にしろ、リアルタイムで長く読んできた分思い入れも深い漫画ですので、
この場を借りて、色々と思い出を振り返ってみましょう。


さて、『家族ゲーム』を語る上で外れないのが、10話目にあたる1年目のホワイトデー回
連載開始後しばらくは「ゲーム好き一家とその周囲の人たちの日常話」をやっていた家族ゲームですが、
この回あたりからラブコメ漫画の傾向が大きく出てきます。
これには、当時は連載漫画のほとんどが「ゲーマーあるある」をメインのネタにしていたので、
それ以外の要素を入れたかった、という芹先生の思惑もあったみたいですが、
何にしても、この漫画の方向性の大きな転機となった回なのは間違いないでしょう。
なにしろ、その展開の先駆けが、

不意打ち兄妹キスというのは、ものすごいインパクトのある展開でした。
『放課後プレイ』がヒットを飛ばした今ならそこまで驚かないかもしれませんが、当時電撃4コマでこんな事する漫画は他にありませんでしたからね!
実際、芹先生も担当さんにたしなめられたこの展開、初めて目にした時には変な汗をかいたものです。
しかしこれは、単に「近親キスキター!!」というそういう嗜好の話だけではなく、
いきなりこういう展開を持ってきた事で、この漫画の“枠”は確実に広がりました。
バトル漫画で死人が出て作品に緊張感が出るように、
このキス描写で、読者も「こういうのアリな漫画なのか!」と驚き、それと同時に次回以降の期待は大きくなったように思います。
リアルタイムで読んでいた時の衝撃はそれだけ大きかったのです。

ここから他のキャラも本格的にラブコメし始め、ラブコメが同時進行していくようになります。
悟に対して恋心を抱いた葵、
真言に対してドキドキした良明、
陽良子も尚武の純真さに惹かれだして、由寿との三角関係に発展…と、あちらこちらでラブコメ祭です。
特に葵の純愛っぷりはとても可愛らしかったです。
一年目のバレンタインでは「(悟にチョコを)あげた方がいいかなあ?」と言うくらいに無自覚でしたが、
二年目に入ると悟の事を意識し出して、
チョコを渡しに行くまでに20分も玄関先でまごついちゃうようになってしまうようになってしまいました。
こういう事をする娘が、
   ↓
こんなに可愛らしく!
元気いっぱいの活発娘だったのが、
想いを自覚したあたりからそういう事をためらうような「思春期の女の子」らしい行動が増えていって、
むしろ恋に対しては奥手も奥手という一面を見せるようになっていました。
「キャラが変わった」というよりは「恋をすることで女の子らしく成長した」と読んでいて思える、実に良い描写です。
葵のみならず、ラブコメ勢は大体が純情奥手なため、進展はなかなかしませんでしたが、
一話内で何組ものやり取りが描かれていたので、毎回内容が濃いのです。
特にお気に入りなのが25話の夏祭り回で、この回はとにかく構成が巧みでした。

最初は皆それぞれ友人同士で集まりますが、中学生で恋人同士の優と窓香はすぐに別行動。


その後尚武と陽良子が喋ってる現場に遭遇した由寿が、強引に尚武を連れてその場を後にします。


あぶれた良明を見かけた真言が悟と別れて、良明と一緒に行動します。
悟は行き合った葵たちと一緒に見て回る事に。


帰り道、朱音たちと別れる葵と悟。
朱音に言われたので、葵の浴衣姿を褒めることになります。
…という様に、最初は友人同士で出かけた皆が、
実に自然な流れで想い人と縁日を過ごす流れになるのです。
これだけの登場人物を動かして、ちょっといい感じの雰囲気も出しつつ、話を上手く転がす…中々出来る事ではありません。
この回がきっかけで、悟は葵を異性として意識するようになっていき、ついには告白までしちゃいましたからね。

とはいえ葵はまだ小学生。
当然そんなに踏み込んだ間柄にはならず、両思いながらもあくまでゲーム友達の枠を越えない付き合いでしたが…。
これが葵が中学生/悟が高校生になると、葵の同級生の紫杏が登場し、また状況は変わってきます。
彼女、最初は名前通りの引っ込み思案だったのですが、
偶然海で溺れかけた所を悟に助けられたことがきっかけとなって、
悟と葵の仲を進展させるために敢えて悟に気があるように振る舞うようになります。
これを葵に対しては効果てきめんで、
紫杏が悟に胸元を覗かれそうな状況になったと聞けば、
対抗して胸元のボタンをいつもより多く外したりして、読んでいて微笑ましい焦りっぷりを披露していました。
また、悟は紫杏のこういう行動にあまり動揺せず、
優しいながらも葵(恋人未満)に対してのものとは明らかに違う態度で接していて、
最終的に紫杏に偽告白されたときも、当然のようにやんわり断るという、男らしい態度を崩しませんでした。
悟も割と鈍い男ですが、本命以外の娘にデレデレする事ない姿は中々立派です。
(厳密に言うと、この三人は紫杏が横恋慕しただけなんで、実は「三角関係」でもない気がします。)
その態度に、悟は「年下好き」ではなく、「葵が好き」なんだと紫杏に指摘され、
それがきっかけとなって、悟と葵はちょっとずつ「恋人同士」になっていくのです。



しかしその一方で、「悟の想いを試すために悟を好きなフリしてる」と自分でも思いこんでいた紫杏も、
すぐに自分の悟への思いを自覚。よりにもよって、フラれた後に本当の気持ちに気づいてガチ泣きします。

まあ読んでいても、紫杏が無自覚に悟に惹かれているんだろうとは分かりましたが、
最終的にはこうなっちゃいますよね…。
紫杏にとっては非常につらい話ですが、
この経験が彼女の成長の糧となり、以降の紫杏は吹っ切れて笑顔を見せる事が多くなります。


この紫杏のエピソード、「失恋」という青春の痛みはしっかりと描きつつも、
後に遺恨を残さない、とても珍しい三角関係話だったと思います。
悟は紫杏の告白(フェイク)を、柔らかくも男らしく拒否していますし、
偽告白を仕掛けた紫杏も、「実は本気だった」のだからあんまり悪女的には思えない。
葵は葵で、紫杏の意味深な行動に対抗意識は燃やすものの、
それで紫杏との関係が悪くなるような事はしませんでした(むしろ嫉妬した事に自己嫌悪していました。)
この一連の流れで実に素晴らしい展開だったと思います。
芹先生も「満足して描けたエピソード」とコラムで書いていましたし、個人的にもお気に入りです。

まあこの大失恋の経験を経たために、
紫杏は後に、好きな男に対してはより積極的な行動に出てしまう訳ですが、それはまた別の話。


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2014-07-11 01:00 : 家族ゲームを振り返ってみよう : コメント : 2 : トラックバック : 0 :
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非公開コメント

やっぱり10話のインパクトはすごいですよね
私にとって それまではゲーム雑誌を立ち読みするついでにおまけマンガを読んでいた感覚で「家族ゲーム」は絵がクセがなくて読みやすいぐらいの印象だったのに あの10話で電撃PS誌をはじめて買い それ以降も目当てゲーム情報があるわけではないのに 単行本化が不安だと理由で買いアンケートハガキを出すようなことをやるようになりました。実際「我が姫君に捧ぐ」はちゃんと完結したのに単行本化されない悲劇・・・ 家族ゲーム目当てで買ってたから抜けている回が気になってしょうがなかったりします・・・
御サイトの家族ゲームの感想も毎回楽しみでした これからもお邪魔します

2014-07-14 00:28 : ウジョー URL : 編集
Re: やっぱり10話のインパクトはすごいですよね
>>ウジョーさん
10話のアレは衝撃的過ぎました。
多分その頃の電撃4コマに、キス描写あるようなラブコメ枠作ろうって気は無かったと思うんですよね。
それがあっての「担当さんにたしなめられた」なんじゃないかと思うのです。
となると、実は電撃4コマ自体の枠を広げた回でもあるのでしょうか?

とはいえ電撃4コマは未だにアンケも無いですからね。
どうやって人気を計ってるのかもいまだ謎なんで、
もうちょっとその辺しっかりしてほしいと数年前から思ってはいますが…。
2014-07-14 22:26 : ノノック URL : 編集
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プロフィール

ノノック

Author:ノノック
文章の苦手な文系。
ゆとり直前世代のゆるゲーマー。
ほのぼの漫画が好き。
2016年2月ブログ名変更。

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