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非常に渋いコミカライズ『カーマンに指令を』読みました。


ついに名作と名高い『カーマンに指令を』を手に入れました。
漏れ聞く限りでも大分評価が高かったので、一度読んでみたかったのですよねー。
まんだらけで1500円+税と、定価の倍近くしましたが、まったく後悔ない出来でした。


今作は、SNKの格闘ゲーム、
龍虎の拳シリーズの一作(現時点で最終作)『龍虎の拳外伝』のコミカライズ作品で、
主役はもちろんロバート・ガルシア…ではなく
彼を幼少の頃から知るガルシア財閥のエージェント、カーマン・コールです。

渋カッコいいエージェントのカーマン。

おおまかな漫画版のストーリーは、
『宝物を見つけた』という伝言を残し、行き先を告げず姿を消したロバート。
彼を探すため、また彼の言う『宝物』が、ガルシア財閥の後継者としてふさわしい物か判断するため、
エージェントカーマンはロバートの足跡を追っていく…。

というもの。
設定的な変更は殆ど無く、
原作主人公ロバートのストーリーをカーマン視点で追跡していく、という感じの構成になっています。

一般的に、ゲームのコミカライズといえば、
原作の主人公ポジションをそのまま漫画でも主役に据えるか、
ライバルやヒロインを主役にして「もう一つの物語」的趣きにするか、という感じだと思うんですけど、
今作は渋いエージェントのオッサンを主役に据えた、格ゲーのコミカライズとして、珍しい作品だと思います。

このシーンだと手前のロディが主人公っぽいですが、奥の「悪役しか似合わない」と言われてる人が主人公です。

また、龍虎の拳といえば、「気」を使ったド迫力の飛び道具、
というイメージがあるかもしれませんが、カーマンは元々原作でも「気」を使うようなキャラで無かった事もあり、
『龍虎の拳2』のコミカライズのような、「気」の応酬、という描写はほとんどありません。
むしろ、作中でカーマンと戦う相手は、
小刀、トンファー、ムチ、剣、銃など、ほとんどが武器を使っており、
格ゲーのコミカライズとしてはこれもまた異色です。
トンファー、ムチ、剣はゲームでも各キャラが使っていましたが、
これだけ「拳と拳のぶつかり合い」のない格闘ゲームの漫画版も無いでしょう
今作の戦闘シーンは、そんな武器を手に仕掛けてくる荒くれども相手に、
主役であるエージェントのカーマンが、
銃もナイフも使わず、鍛え上げられた護身術一つで相手を圧倒する様が見どころです。

銃を構えようとするモブを素手で圧倒。左下のコマでは銃を相手の装備の隙間に捻じ込んで無力化しています。
一見すると地味に見えますし、正直ゲーム版ではかなり地味だったカーマンですが、
天獅子先生の画力の高さやカッコいい台詞回しもあって、
実に強くて渋くてカッコいい、大人の魅力たっぷりのキャラクターになっています。
そのためか、今作は「格闘漫画のコミカライズ」というより、
パイナップルARMY』のような、
リアリティ溢れる知的アクション漫画と言える作風です。

尋問を受けつつ、相手の装備を把握するカーマン。この冷静さと抜け目なさが実にプロ。
『宝物』ことワイラーの薬にも非常に「それっぽい」説明がされていて、これも見事。
「龍虎の拳外伝って傑作だったのでは?」錯覚してしまう出来となっています。

一方で、
ゲーム版に忠実だった『龍虎の拳』1、2のコミカライズ版と比べると、原作再現度は低めだったりします。
原作の使用キャラクターでも、あまり本筋に絡まない藤堂香澄と王覚山は出番すらありませんし、
カーマンの戦闘スタイルに合わせてか、極限流の技もリアル寄りの描写になっています。
(龍撃拳等も正拳突きっぽい描かれ方で、飛び道具らしい使われ方はされません)
また、みんな大好き不破刃なんかは、
一人称が「オレ」(ゲームでは「拙」)になっていたり、
ゲームでは一切使っていなかった短刀で奇襲を狙ってきたりと、
天獅子龍虎にしては珍しく原作と全然違うキャラクターになっていますが、
まあ不破刃だから別にいいと思われた
これは、カーマンの対武器用の護身術と、
武器をもろともしない極限流の強さを見せる相手として都合が良かったという所が大きいと思います。

リョウを狙う不破。なんかキャラが違いますが、ある意味原作より忍者っぽいです。しかし…。

リョウとの戦いに介入したカーマンをも襲いますが、カーマンの技の前にあっさりやられます。
この後、隙をついて復活しますが、今度はリョウにあっさりやられます。

漫画版龍虎2では、影二も原作で使ってなかった暗器攻撃をしたり、
傷を負ったタクマに奇襲を仕掛けようとしたりと、彼も原作より非道な振る舞いの多いキャラではあったので、
「天獅子版龍虎の拳の忍者キャラ」としては、これくらい修羅っ気があっても良い気がします。
作中の扱いとしては、龍虎2でタクマを負傷させ、リョウとも互角以上の戦いを見せていた影二に対して、
不破刃は完全に噛ませポジションと、酷い差がありますが、それはしょうがない所。
原作キャラクターでこういう立ち回りをさせるのに丁度いいキャラクターだったという事でしょう。


オリジナル要素といえば、後半カーマンが戦う相手として、
サーベルタイガーなんてのが出てきますが、これも当然原作では影も形もありません。

流石の護身術も効かなそうなサーベルタイガー。素手で戦うのは無理な相手です。
しかしこれは超展開という訳ではなく、
ワイラーの新薬研究の実験体となったイエネコが、薬の効果で異常成長した生物で、
当然ながらその性質は副作用により凶暴、カーマンも「こいつは厄介だぞ!!」とこぼすほどの相手になっています。
これにより、ワイラーの新薬がいかにヤバい代物なのかが分かりますし、
ゲーム同様、薬を飲んで急激にマッチョになるワイラーの「変身」もなんとなく納得できるものになっています。
ちなみにちょっとネタバレをしてしまうと、
このサーベルタイガー戦、さすがのカーマンも護身術でどうにかなる相手ではなく、
最終的に自らの技ではなく、電気設備を利用しての高圧電流で仕留める事にとなります。
カーマンも、対人戦では屈指の実力者ですが、
それでも作中最強という訳ではなく、極限流のリョウとロバート、
そして「薬」で凶暴化した被験者たちに対しては、少し遅れをとるような描写がされています。

漫画版では「薬」の被験者となっていたシンクレア。
禁断症状で暴走し、痛覚もなく常識外の動きをする彼女に、カーマンは苦戦を強いられます。

関節や急所を狙い、的確に相手を無力化させる、カーマンの技がしっかり描かれてる分、
そのエージェントすらも手に余る異常な身体に生物作り変える「薬」の恐ろしさ、
そしてそれすら凌駕する極限流の強さがどれだけ常識はずれなのかが読んでいて伝わります。
ロバート本人の出番はあまり多くはないのですが、
それでいてちゃんと原作主人公やメインとなる極限流を立てているという、完成度の高い作品だと思います。

また、本書に収録されている、
ガルシア家に仕える老執事ロマーリオを主役に据えた短編『ロマーリオの幸福』もまた見事な出来です。
本編以上に渋チョイスですが、
彼が語る思い出話には、
戦時中、自分の部隊の部下だったアルベルト(ロバートの父)や、若きタクマ・サカザキが登場。
龍虎の拳の主役の父世代の話となるのです。
ミラノを空手着に下駄で闊歩するタクマ(17)の姿はなかなか新鮮で異様
当然、イタリアンマフィア相手にその強さを見せてくれます。
また、見せ場は少ないですが、ロマーリオ自身も格闘術を見せる場面があり、これがまたカッコいい。

杖で戦うロマーリオ。「シチリア式スキレット格闘術」との事。
検索してもなかなか情報が出てこないんですが、この「片手を背中に回す」という戦闘スタイルは独特でカッコいい。

アルベルトと彼の恋人にして自身の想い人でもあるカタリナを守るため、
タクマと共にマフィアのアジトに乗り込む場面も絵になります。

若きタクマは当然下駄です。こう見るとリョウとそっくりですね。
ロマーリオはこの件を契機に、アルベルトの会社の保安セクションに就くこととなります。
その後ロバートが生まれ、タクマにはリョウとユリの兄妹が生まれ、
ロバートはリョウと龍虎と並び称され、ユリとは恋人として付き合いが始まる…。
アルベルトやタクマとの交流のあったロマーリオからしたら、実に数奇な運命に見えますね。
実際、こういう設定がゲームからあったのかは分かりませんが、
ガルシア家と極限流の繋がりが一層深く感じられるお話だと思います。

これ本当に出来の良い一冊なので、どうにか再販されないですかね…。

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2017-09-24 01:37 : レトロ漫画 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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Author:ノノック
文章の苦手な文系。
ゆとり直前世代のゆるゲーマー。
ほのぼの漫画が好き。
2016年2月ブログ名変更。

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